新しい東京の玄関口「高輪ゲートウェイ駅」とまちづくり
2020年3月、JR山手線・京浜東北線の品川~田町駅間に、山手線の49年ぶりの新駅「高輪ゲートウェイ駅」が開業しました。
カタカナが含まれた特徴のある駅名、和のテイストの駅舎、AIの導入など、斬新さで開業前から注目されています。
今回は、新しい東京の玄関口となる「高輪ゲートウェイ駅」とその周辺のまちづくりについてご紹介していきたいと思います。
品川開発プロジェクト
現在、品川駅の車両基地跡地において、「グローバルゲートウェイ品川」というコンセプトを持つ、「品川開発プロジェクト」と呼ばれるまちづくりが行われています。
その一環として誕生したのが、「高輪ゲートウェイ駅」です。
駅周辺の再開発は現在進行中で、2024年にまちびらきする予定です。
まち全体のデザイン構想は、世界的に有名なアメリカの建築事務所である「Pickard
Chilton(ピカード・チルトン)」と国立競技場のデザインも手掛けた「隈研吾建設都市設計事務所」が担当しています。
まち全体を4街区に分け、建物を「日本列島の島々」に見立て、「アーキペラーゴ(列島)」を創出します。
そして、かつて海岸線であった場所であることから、滑らかな「フロー(流れ)」のような歩行者ネットワークを整備します。
建物の低層部には緑を、高層部には頂部に統一した動きをつくり、各建物が個性を持ちながら「群としての一体感」を表現します。
「高輪ゲートウェイ駅」の駅前は、「エキマチ一体まちづくり」として「360度の広場空間」を形成します。
東京の玄関口となり、国際交流拠点となるにふさわしい景観をめざします。
品川開発プロジェクトは、2024年のまちびらきに向けて、新たな文化・ビジネスが生まれ続けるための仕組みづくりを行っていきます。
そして、世界中からこの場所を舞台にあたらしいものを生み出したい人たち、またそれを支えたいと思う人たちを集め、共創していくための取り組みを「TokyoYard PROJECT」と
名付け、まちびらきに先行して活動を開始しています。
Yardは、車両基地の意味で、はじまりの場所であり、常につくり続ける未完成の場所という思いが込められています。
高輪ゲートウェイ駅はこんな駅
隈研吾氏が設計を手掛けた「高輪ゲートウェイ駅」は、国際交流拠点にふさわしい、「和」のテイストを取り入れた駅舎となっています。
駅名の表示もゴシック体ではなく、日本らしい明朝体を取り入れています。
大屋根には日本らしい折り紙のデザインが取り入れられています。
特殊加工された和紙のようなガラスの素材の屋根で、昼間は日光を取り入れ、夜は行燈のように光を放ちます。
駅舎には難しいとされていた木材が最先端技術を用いて屋根や壁などのあらゆる場所に使用されています。
また、床には木目調のタイルが用いられています。
木のぬくもりやあたたかみを感じる、趣のある空間が広がります。
さらに、6つある四つまたの柱の接合部は、品川車両基地の古いレールを一部使用した鋳物となっています。
鉄道テラスビジョン
「鉄道テラスビジョン」は、2階コンコース内に設置された幅14m、高さ5mの巨大デジタルサイネージです。
高輪の歴史などを紹介します。
AIロボット
駅案内用のサイネージには、改札内では「小石川彩」さん、改札外では「渋谷さくら」さんと男性駅員などのバーチャルキャラクターが4か国語で案内してくれます。
警備・清掃・案内をしてくれる移動型のロボットも駅舎内を回ります。
対話型のロボットとは業務以外のおしゃべりもしてくれるそうです。
新型自動改札機
QRコードとSuicaなどの交通系ICカードの読み取りに対応した「タッチしやすい自動改札機」が実験で設置されています。(2020年9月30日まで)
車いすの乗客もタッチしやすいようにICカードリーダーが斜めに設置されています。
無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」
都内初のウォークスルー型の駅ナカ無人コンビニがオープンしました。
約60㎡の売り場面積内には、食料品や飲料品、雑貨など約600種類が陳列されています。
一方通行になっている店内では客が手にした商品がカメラやセンサーで認識され、決済ゾーンでSuicaやPASMOなどの交通系電子マネーによる決済が可能となります。
今後、交通系以外の電子マネーやクレジットカードにも対応していく予定だそうです。
株式会社 TOUCH TO GO - "Run with the Future - 未来の実現へ"
スターバックス コーヒー
「スターバックス コーヒー」が3階にオープンしました。
この店舗では、ビジネス利用を目的とした、「SMART LOUNGE(スマートラウンジ)」を日本で初めて導入しています。
6つの半個室席のほかに、完全個室のブース型シェアオフィス「STATION BOOTH」を2台備えています。
複数人の打ち合わせに使用できるビッグテーブルも設置されます。
駅ナカ×シェアオフィス - STATION WORK(ステーションワーク)
また、テラス沿いのカウンター席には仕切りが設けられており、作業に集中することができます。
フリーWifiやモバイルバッテリー、電源なども完備されて安心です。
キャッシュレス特化型の店舗でもあるため、事前に注文決済し、店舗で商品を受け取れる「モバイルオーダー&ペイ」の専用カウンターも設置されます。
高輪ゲートウェイ駅と品川エリアのこれから
現時点ではまだ余白の多い駅前の風景ですが、これから開発が進み、2024年頃には高輪ゲートウェイ駅と一体化したビルの立ち並ぶ活気ある街が完成します。
オフィスビルや商業施設が並び、にぎわいをみせる予定です。
隣駅である品川駅は、2027年に東京~大阪間を1時間で結ぶ「リニア中央新幹線」の始発駅となり、近隣にある泉岳寺駅は、羽田空港と直結しており、今後こちらの駅へのアクセスも良くなる予定です。
ますます盛り上がりを見せる「高輪ゲートウェイ駅」と、品川エリアの発展が楽しみですね。