◎上品で涼しげな夏の和菓子
季節によって様々に彩りを変える日本の和菓子は魅力的です。そこには、四季の移ろいに対する日本人の細やかな感覚がよく表れています。本格的な夏が始まるこれからの季節は、見た目も食感も涼しげな和菓子がたくさん登場します。そこで今回は、全国の和菓子屋さんの夏の逸品をご紹介します。
七夕の世界を描いた羊羹は美しく食べるのがもったいないくらいです。濃い青の夜空をイメージした琥珀羹に星屑を表現した銀箔が散りばめられており、輝く天の川を表しています。琥珀羹の下は味甚羹、小倉羹の二層になっており、あっさりとした甘さの上品な味わいです。
季羹 爽や菓(さわやか)
新元号「令和」になりはじめての新作羊羹もおすすめの逸品です。名前の通り、爽やかな色合いとのどごしは、新しい京菓子です。桃の優しい果肉を羊羹と合わせ、レモンの香りを錦玉羹に移して甘煮に仕上げ、薄くスライスしたレモンは皮のほろ苦さがアクセントとなっており手土産におすすめの品です。
七夕の季節に涼を添える、パステルカラーのみずみずしい和菓子です。うっすらと金箔がちりばめられ、豪華なのに上品な印象を与えてくれます。くず製のお菓子で、淡いグラデーションがなんとも美しい和菓子です。
3、紫陽花/鈴懸(博多)
青紫、赤紫、透明の鮮やかな彩りの錦玉をまとい、求肥入りのしろあんを包んだとても美しい生菓子です。梅雨どきに可憐に咲く紫陽花の清らかな風情を表しています。大切なお客様をおもてなしする際のお菓子に最適です。冷やすと、より美味しくいただけます。
1885年(明治18年)創業の京菓子店、大極殿本舗のレースかん(レース羹)は輪切りのレモンがレースのように見えることから名付けられたという由来に納得する逸品です。レモンをふんだんに使われていますが、酸っぱさはなくレモネードのように優しい味です。和菓子としては珍しい清涼感とフレッシュさがあるので、夏の贈り物の定番・ゼリーの代わりにお中元として贈ると喜ばれる品です。5月中旬から9月初旬までの季節限定商品です。
◎見た目にも可愛いフォトジェニックな和菓子
お菓子は美味しいことも大事ですが、見た目も可愛いと自分用にもついつい買ってしまいます。見た目が綺麗なものなら手土産にも最適で、送った相手にも喜ばれます。思わず写真に撮りたくなるような可愛いい夏の和菓子をご紹介します。
a.Fly Me to The Moon 羊羹ファンタジア/本家長門屋(福島県会津若松市)
創業1848年の福島県会津若松市にある長門屋では、切る度に違った断面が登場する羊羹ファンタジアを作りました。切る度に出てくる絵柄が変化し、三日月から満月へ羽ばたいていく羊羹です。見た目だけではなく味も抜群で、シャンパンのゼリーのような錦玉羹を、小豆羊羹ではさんでいます。中の鳥と月はレモン羊羹です。上にはクランベリーやクルミ、レーズンがトッピングされており、贈り物として最適な品です。
元和3年(1617)創業、京都・祇園に本店を構える亀屋清永の星づく夜は満点の星が輝く夜空を思わせる夏限定のようかんです。青色のようかんに月と星が浮かんでいて、とてもロマンチックで写真映え間違いなしの夏の和菓子です。ほのかにパッションフルーツとレモンが香るさわやかな味わいで、冷やすと一層おいしく食べられます。
東京日本橋にある和菓子屋、日本橋長兵衛では、夏の季節にぴったりな金魚モチーフのかわいいゼリーがあります。寒天を煮詰めて作る透明な和菓子、錦玉(きんぎょく)には黒と赤の羊羹でできている金魚2匹がゆらりと泳ぐ姿をうつしたお菓子です。爽やかなレモン風味のゼリーです。ぷるんとした食感でのどごしが良く、夏の贈り物にや手土産に喜ばれる逸品です。
◎夏の手土産にオススメな和菓子
帰省のお土産、取引先へのご挨拶、ホームパーティの差し入れなど、手土産を渡す機会が多い夏です。忙しい日々の合間にも、日頃の感謝を込めて気の利いた1品を選びましょう。初夏を映す涼し気な色彩の中にも優しい食感や風味が感じられるおすすめの和菓子をご紹介します。
京都の麩饅頭といえば、麩嘉(ふうか)が有名です。和菓子屋ではなく、麩の専門店です。生麩をあんで包み、笹で包んだ麩饅頭は、マスコミや著名人にもよくとりあげられる有名なものです。非常にすがすがしい味がし、清涼感があります。老舗ならではの、上質な生麩の味で最高級の品の良さとクオリティがあり、お世話になっている方への手土産には最適です。賞味期限は、非常に早いので、進物にされる際は、気をつけましょう。
②西湖/紫野和久傳(京都市中京区)
れんこん菓子西湖はも誰かを思いやって贈りたくなる和菓子です。笹に包まれた様相が涼しげなので、夏の手土産におすすめです。笹でくるんで竹皮で結んでいる丁寧な仕事とカゴ入りは御使い物にもぴったりです。でんぷんの蓮粉を使っており、葛とは違い、口当たりはとてもなめらかで、もちもちしています。和三盆のコクのある甘さとほのかな笹の香りも楽しめ、上品な味わいの和菓子です。
③ 陸乃宝珠/源吉兆庵(銀座)
銀座に本店のある源 吉兆庵は、菓子に適した果実を求めて農園まで作ってしまったという、こだわりの強いお店です。岡山産の最高級のぶどう、マスカット・オブ・アレキサンドリアを、そのまま丸ごと求肥とこまかな砂糖で包み込んだ陸乃宝珠(りくのほうじゅ)は、果実の新鮮さを極力損なわない製法にこだわったお菓子です。お菓子をひとつひとつ丁寧に包装してあり、まるで高級な宝石のようです。
いかがでしたか?心ときめく夏の和菓子はありましたか。夏の和菓子は目にも美しく涼しげで食べるのが勿体無いくらいの逸品ぞろいです。気になるものがあれば、今夏の帰省の手土産にしてみることをおすすめします。