本郷でレトロ散歩&レトロ喫茶めぐり
東京大学があり、アカデミックなイメージで有名な本郷は、出版社や研究所も多く、文教地区として知られています。
また、明治や大正時代を代表する文豪が多く住んだ場所でもあり、近代文学発祥の地としても名高い街です。
そんな学問の街・文学の街として歴史と文化を感じられる、本郷をぶらりと歩いてみませんか?
新たな発見がきっとありますよ。
昔ながらの風情を残す、レトロ喫茶でひと息入れながら散策を楽しみましょう。
本郷レトロ散歩
それではまず、本郷を歩く際に訪れておきたいスポットをご紹介します。
東京大学
東京大学は、1877年(明治10年)に設立された、日本を代表する国立大学です。
本郷キャンパスがあるこの場所は、江戸時代には加賀藩を中心とした藩屋敷でしたが、明治維新により官有地となりました。
そしてその地に、東京医学校と東京開成学校、司法省法学校、工部大学校が次々と統合と移転をし、総合大学として誕生しました。
現在の校舎は主に、関東大震災後に建てられたものです。
赤門や、夏目漱石の「三四郎」に登場する通称・三四郎池、安田財閥の祖である安田善次郎が寄贈した安田講堂(東京大学大講堂)などが有名です。
11月下旬頃からは、キャンバス内のイチョウ並木がきれいに色づき、観光客も多く訪れます。
趣のある校舎と、黄色に染まった葉とのコントラストが映えて、とてもきれいです。
東京大学では、学生以外の人も食事やお茶が楽しめることをご存知ですか?
学食である中央食堂は、一般の人も利用できます。
そして、日本料理店「くろぎ」の姉妹店で、猿田彦珈琲とコラボレーションしている、「廚菓子くろぎ」というカフェもあります。
上品な味わいの葛きりや、ボリュームに驚いてしまう、かき氷が大人気です。
東京大学
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html
廚菓子くろぎ
http://wagashi-kurogi.co.jp/
菊坂
本郷の地形は台地となっていて、坂道や階段の多い土地となっています。
数ある坂の中でも、昔は菊を栽培する農家が数多くあったという、菊坂の近辺には見どころがいっぱいです。
明治時代から大正時代にかけて、樋口一葉・夏目漱石・石川啄木・宮沢賢治などの多くの文豪や詩人が在住していたということで、ゆかりの地が多く点在しているのです。
なかでも見どころは、樋口一葉が生活費の工面のために駆け込んだという、旧伊勢屋質店です。
1860年(安政7年)に創業し、1982年(昭和57年)まで営業していた質店で、登録有形文化財に指定されています。
現在は、跡見学園の所有となっており、土日には一般公開も行っています。
丁寧な案内をしていただきながら、貴重な内部の様子を見学することができます。
近くには樋口一葉の旧居跡や使用していた井戸などもありますが、民家の一角にあるため、見学には配慮が必要です。
さらにもうひとつは、細い路地を入った場所にある、金魚坂と呼ばれる金魚屋さんです。
350年もの歴史を持つ、金魚の卸問屋で、こちらには釣り堀やカフェも併設されています。
点在する、文豪ゆかりの地めぐりの合間に楽しんでみてはいかがでしょうか。
旧伊勢屋質店(菊坂跡見塾)
http://www.atomi.ac.jp/univ/about/campus/iseya.html
弥生美術館・竹久夢二美術館
弥生美術館は、弁護士の鹿野琢見によって、昭和59年(1984年)に創設された美術館です。
挿絵画家・高畠華宵の作品が展示されているほかに、さまざまな企画展が開催されています。
漫画家の展覧会など、現代にマッチした作品展も多いので若い人も多く訪れています。
竹久夢二美術館は、1990年(平成2年)に開館した、鹿野琢見の竹久夢二コレクションを展示している美術館です。
弥生美術館とはつながっているため、大正ロマンを一緒に堪能することができます。
美術館の敷地内に併設している、夢二カフェ 港やでは、夢二の絵が描かれたラテアートを楽しめるカプチーノもいただけます。
弥生美術館・竹久夢二美術館
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/
本郷レトロ喫茶めぐり
では続いて、レトロ散歩の合間に立ち寄りたい、素敵な喫茶店をご紹介します。
名曲・珈琲 麦
麦は、本郷三丁目駅からすぐの場所にある喫茶店です。
創業は1964年(昭和39年)で、名曲喫茶が全盛の頃には、東京大学オーケストラの「第二部室」と呼ばれ、東大生でにぎわっていたそうです。
手書き風の白い看板の横の階段を降りると、赤い絨毯が印象的な二つのレトロな空間が広がります。
創業当時から活躍しているというスピーカーからは、クラシック音楽が優しく流れ、一人で過ごすにも友人と過ごすのにもちょうどいい音量に気配りを感じます。
こちらの名物はネルドリップで淹れられる、一杯300円のコーヒーと、こちらのプリンです。
素朴で固めの「す(=)気泡」の入ったプリンにほろ苦いカラメル、添えられた缶詰のフルーツが、懐かしくてほっとするおいしさです。
セットで600円という良心価格も魅力です。
名曲・珈琲 麦
東京都文京区本郷2−39-5
本郷三丁目ビルB1F
<月~金>7:00~20:00
<土・日>7:00~19:00
万定フルーツパーラー
万定フルーツパーラーは、1914年(大正3年)創業の100年以上の歴史を持つ喫茶店です。
創業時は、東大病院のお見舞いや、教授への手土産などに利用される青果店でしたが、先代でその役目を終えました。
本郷通りに面する、以前に店舗があった場所は、現在はシャッターが閉められています。
昭和初期に改修されたという、戦火を免れた重厚な石造りの貴重な建物は、当時の雰囲気を出来る限りそのまま残しているような印象です。
お店に入ると、奥様がやさしい声で出迎えてくれます。
昭和初期に生産されたレジスターや、市松模様の床など、広がるレトロな光景にキョロキョロとしてときめいてしまうことうけあいです。
このお店では、学生たちから長く愛されている、カレーライス、ハヤシライス、手絞りのフレッシュジュースが味わえます。
カレーライスは、小麦粉から炒めて野菜が溶け込んだ、黒くてサラサラのカレーです。
スープカレーのようでじんわりとおいしいです。
フルーツパーラーの時代を偲ばせるオレンヂジュースは、新鮮なフルーツの甘みを存分に味わえます。
万定フルーツパーラー
東京都文京区本郷6-17-1
11:00~15:00
定休日:不定休(12月29日~1月3日休み)
喫茶ルオー
喫茶ルオーは、1952年(昭和27年)創業の喫茶店です。
画廊喫茶として始まり、1979年(昭和54年)に現在の東大正門前に移転しました。
店内に入ると、にこやかな笑顔で席を案内していただけます。
木彫りのテーブル、コーヒーカップの形にくり抜かれた椅子など、落ち着いたインテリアは心を穏やかにしてくれます。
特に二階の窓際の席は、季節の木々や花々、人々の往来を眺められるのでおすすめです。
こちらのお店の名物は、セイロン風カレーです。
朝早くから仕込み、香辛料や野菜を入れてじっくり煮込まれたカレーは、スパイシーでさらさらとしています。
ゴロゴロとした豚ロース肉とじゃがいもとのバランスが絶妙です。
ミニサイズのドリンクも付いて来ますので、食後にゆっくりと過ごすことが出来ます。
喫茶ルオー
東京都文京区本郷6-1-14
<月~金>9:30~20:00
<土>9:30~17:00
定休日:日・祝
こころ
こころは、60年あまりの歴史を持つ、長く愛される喫茶店です。
店名は夏目漱石の小説のタイトルから来ているそうです。
お店に到着すると、昔の映画に出てきそうな外観に目が釘付けになります。
扉の向こうの様子が見えず、ドキドキしながら店内に足を踏み入れると、やさしいご主人と奥様が出迎えてくれます。
青と緑の色合わせが素敵なソファーに身を沈めると、常連さんからの贈り物などが目に留まり、昭和気分を味わえます。
1階と2階がありますが、2階を利用するには予約が必要となります。
東大生がよく利用するこのお店は、ウィンナーライスや焼きそばなどのはらぺこのお腹を満たしてくれるようなメニューもあります。
ホットココアでひと息。
おなじみのお菓子を添えていただき、ほっこりとします。
こころ
東京都文京区本郷6-18-11
TEL:03-3812-6791
<月~金>10:00~19:00
<土>11:00~16:00
定休日:日・祝
いかがでしたか?
古き良きものを大事に残している、レトロな魅力と学び、そして人情があふれる本郷の街をぜひ歩いてみてくださいね。