ジェーン・バーキンについて
ジェーン・バーキンは、1946年生まれのイギリス出身の女優・ミュージシャンです。
1965年、イギリス映画の「ナック」にて映画デビューを果たし、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望」で注目されました。
1968年に渡仏し、セルジュ・ゲンズブールとの運命の出会いもあり、女優や歌手として活躍しました。
そして、フレンチ・ロリータの代表として人気を博しました。
1970年代の中盤からは、これまでのイメージとは一転し、ベリーショートのヘアスタイルに、Tシャツ・ジーンズのスタイルが話題になりました。
私生活では、007の作曲で有名な音楽家のジョン・バリー、多才なアーティストのセルジュ・ゲンズブール、映画監督のジャック・ドワイヨンとパートナーでした。
それぞれのパートナーとの間に3人の女の子を授かり、彼女たちもまた、写真家や女優として活躍することになります。
彼女の名を冠したバッグ、「バーキン」の誕生エピソードはとても有名です。
飛行機でたまたま隣になった、エルメスの社長の前で、バーキンは、カゴバックの中身をばらまいてしまいました。
社長は、ポケット付きのバッグにしたほうがいいとのアドバイスを彼女にしました。
その後、社長がデザインをし、バッグを贈ったことから、「バーキン」というバッグは誕生しました。
自然体で飾らない人柄とファッションが人をひきつけてやまないバーキンは、70歳を越えた現在も、活躍を続けています。
◆ワンダーウォール(1968年)
「ワンダーウォール」は、ジョー・マソット監督による、イギリス映画です。
「ナック」や「欲望」で知名度を上げた、ジェーン・バーキンが渡仏前の最後の作品です。
音楽は、ビートルズのジョージ・ハリスンが担当しており、シタールを使用したインド音楽や電子音楽はサイケデリックな雰囲気を盛り上げています。
初老の自然科学者のオスカー・コリンズ教授(ジャック・マッゴーラン)の隣室に、ある日、ペニー・レイン(ジェーン・バーキン)が越してきました。
ある晩、壁の穴から彼女の姿が見えたことから、彼女に夢中になり、部屋ごと彼女を観察できるように改造してしまいました。
彼女の部屋には恋人が出入りしているのにも関わらず、幻想の中ではすっかり恋人と化していました。
この映画でのジェーン・バーキン(以降・バーキン)は、セリフがないため、人形のような美しさがさらに際立っています。
60年代後期ならではのカラフルでプラスチックな感じの衣装や、花柄などの色彩の洪水で、観ていて楽しい気分になります。
そして、ジェーン・バーキンの私物なのではないかと思われるカゴバックが終盤のシーンで登場します。
次にご紹介する「スローガン」でもかなりの頻度で登場するので、注目してみてくださいね。
◆スローガン(1969年)
「スローガン」は、ピエール・グランブラ監督によるフランス映画です。
フランソワ・トリュフォーの助言を受け、監督の失恋体験を自らの出資で映画化しました。
バーキンとセルジュ・ゲンズブールが出会うきっかけとなった作品としてとても有名です。
日本では、1995年にようやく劇場公開され、当時渋谷系と言われた人々を中心として絶賛されました。
この映画に抜擢されたばかりのバーキンは、まだ有名であるとは言えませんでした。
そんなバーキンに対し、セルジュ・ゲンズブール(以降・ゲンズブール )は高慢で不遜な態度をとったそうですが、自然体な彼女に次第に惹かれていきました。
バーキンも、ゲンズブールの内気で子供な部分に気付き、惹かれるようになり、撮影を通して愛が深まりました。
この映画の公開と同じ年に、デュエット曲の「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」が大ヒットしました。
二人はパートナーとなり、1971年には、のちに女優・アーティストとして活躍する、シャルロット・ゲンズブールが生まれました。
では、ストーリーについて触れていきましょう。
CM監督のセルジュ(ゲンズブール)は、ベネチアのCM映画祭で最高賞を受賞し、名声を得ており、40歳という年齢で、すでに家庭を持っていました。
そんな彼が、ホテルでたまたま出会った23歳のエブリン(バーキン)に一目ぼれし、二人は惹かれあうようになります。
エブリンにも3年越しの恋人がいたのですが、二人はパリで共同生活をするようになります。
愛し合っていたはずの二人ですが、やがて境遇や年齢など、さまざまな要因が重なり、すれ違いが生じるようになっていきます。
この映画でのバーキンのファッションは、当時流行していた、「スウィンギング・ロンドン」の影響が色濃く見られます。
ミニスカートにサラサラのロングヘアのスタイルがほとんどです。
ファーのコートや麦わら帽子にワンピースなど、シーンによって着ているスタイルはさまざまですが、バッグは常にふた付きのかごバッグです。
バーキンは、プライベートでもシーンを問わずにかごバッグを愛用していました。
そんな着こなしの先駆者とも言えるバーキンのかごの合わせ方を学べる映画でもあります。
ぜひ、チェックしてみてください。
◆ガラスの墓標(1969年)
「ガラスの墓標」は、ピエール・コラルニック監督によるフランスの犯罪映画です。
既にパートナーとなっていた、バーキンとゲンズブールが共演しています。
少し寂しげな60年末期の香りを感じる映像を楽しめる一本です。
ゲンズブールによる音楽も素敵です。
マフィアの殺し屋のセルジュ(セルジュ・ゲンズブール)は、ニューヨークからパリに移動し、麻薬組織のボスを狙っていましたが、返り討ちにあってしまいます。
飛行機で出会った大使の娘のジェーン(ジェーン・バーキン)に助けられ、二人は恋に落ちます。
この映画の舞台は冬のパリです。
よって、バーキンは、黒のPコートに白のミニのニットワンピースやローズ色のニットなどを着こなしています。
まだまだミニスカートが人気の時代です。
しかし、70年代に入るとパンタロンや、マキシ丈のスカートに移行していきます。
◆マドモアゼル a Go Go(1972年)
「マドモアゼル a Go Go」は、リシャール・バルドゥッチ監督によるフランス・イタリア合作のコメディ映画です。
バーキンとゲンズブールの共演ですが、ゲンズブールは今回は脇役で登場します。
耳に残る軽快な音楽はゲンズブールが担当しています。
マンションで共同生活を送る4人の女の子は、船乗りからプレゼントされた望遠鏡で近辺を覗き見していました。
向かいの貸別荘に二人の強盗が潜伏しているのを見つけ、金を横取りしようと計画を練ります。
ルパン三世のようなドタバタな強奪劇が楽しく、気楽に観られる作品です。
この作品でのバーキンは、銀ぶちの眼鏡やデニムシャツに白いワンピース、黒と白のストライプのワンピースなどを着こなしています。
全身黒タイツなどの姿もあり、これまでのシリアスであったりつかみどころのない役どころとは正反対です。
バーキン以外の3人は、カーリーヘアにボヘミアンファッションなど、70年代の流行の服に身を包み、カラフルで観ていて楽しいです。
気楽に観られて、70年代ファッションもたっぷりと楽しめる作品です。
ジェーン・バーキンの映画とファッションについて ご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
おしゃれのヒントがたくさん詰まった作品の数々にぜひ触れてみてくださいね。