ブリジット・バルドーは、1934年生まれのフランスを代表する女優です。
頭文字のB・Bと赤ん坊のbe´be´とかけて「BB(ベベ)」という愛称で親しまれてきました。
ブロンドのふんわりした長い髪とぷくっとした唇の小悪魔的な女性らしさが魅力で、「フランスのマリリン・モンロー」とも呼ばれています。
ファッションモデル・歌手としての活動もしていましたが、1973年に女優業を引退し、動物愛護活動家として活動しています。
おしゃれのヒントが満載のBBの映画に触れて、センスを磨いてみませんか?
◆素直な悪女(1956年)
「素直な悪女」は、ブリジット・バルドーが18歳の時に結婚した、夫のロジェ・ヴァディム監督によるフランス・イタリア合作の恋愛映画です。
ブリジット・バルドー(以降BB)の名を世界的に知らしめるきっかけとなった作品として有名です。
南仏サン・トロペの書店に勤める18歳のジュリエット(BB)は、小悪魔的な魅力で男性たちの目を常に引いていました。
バーのオーナーのエリック、遊び人で二枚目のアントワーヌ、内気なミシェルの3人も彼女に思いを寄せていました。
孤児院育ちのジュリエットは、モラン夫婦に引き取られて暮らしていましたが、自由奔放な彼女を追い出そうとしていました。
そこで愛してはいないミシェルと結婚することになりますが、彼女が落ち着くことはありませんでした。
この作品でのBBは、パープルのシャツワンピース、赤のフレンチスリーブのワンピース、赤いカーディガンとタイトスカートを着ています。
さらには、黒の半袖ニットにグリーンの前ボタンのスカートもさらりと着こなしています。
カーディガンの第三ボタンまでが開いていたり、スカートのボタンを留めるのも半分までと、きわどいファッションが多いですが、健康的な美しさです。
そして、足元は、repetto(レペット)のタウンユースが出来るバレエシューズ、ベージュ色のサンドリヨンです。
この撮影のために使用した靴を気に入ったBBは、カーマイン・レッドのバレエシューズを注文しました。
足の指が見えるほどの甲が浅いシューズはたちまち大人気になりました。
現在も世界中で愛されているバレエシューズとなっています。
また、シンプルな七分袖の初々しくかわいいウェディングドレス姿のシーンも見ものです。
そして、自分がうまくコントロールできない不甲斐なさから、一心不乱にキャバレーでチャチャチャを踊るシーンもあります。
どのシーンのBBも荒々しいのに繊細で目が離せません。
BBの出世作となった本作は、必ずチェックしてください。
◆殿方ご免遊ばせ(1957年)
「殿方ご免遊ばせ」は、ミシェル・ボワロン監督によるフランス・イタリア合作のコメディ映画です。
BB本人も、お気に入りの作品の一本として挙げている作品です。
フランス大統領の一人娘であるブリジット(BB)は、秘書官のミシェルに思いを寄せていました。
ようやく結婚することになったのですが、ミシェルはプレイボーイで浮気癖があり、それに常に怒っていました。
そこで、ミシェルを困らせるために、パリを訪れていたシャルル大公とジェット機に乗ってニースに遊びに行ったりと、大胆に浮気を装います。
冒頭から赤いオープンカーでシャンゼリゼ大通りを猛スピードで運転するBBは、オリーブグリーンのベロアの丸襟のコートを着ています。
そして、赤いマルチストライプのニット帽を被ります。
そのほかに、ヒョウ柄のコートに水色のスーツ、ベビーピンクのクルーネックカーディガンにグレーのタイトスカートと甘辛のバランスが絶妙なコーディネートもあります。
また、ベージュのシャツにジーンズ、茶のブーツといったカジュアルな服の姿も見られます。
そして、なんといっても赤の胸元の大きく開いたドレスがブロンドの髪に映えます。
この作品の衣装の担当は、ピエール・バルマンです。
かわいくて色気のある着こなしは必見です。
◆気分を出してもう一度(1959年)
「気分を出してもう一度」は、ミシェル・ボワロン監督によるフランスのミステリー・ラブコメディ映画です。
ヴィルジニー(BB)は、歯科医のエルヴェ(アンリ・ヴィダル)と結婚しましたが、新婚早々喧嘩ばかりして、夫は浮気をしてしまいます。
ところが、その浮気相手が殺されてしまい、そこに出くわした夫に疑いがかけられますが、
ヴィルジニーが探偵となり、真犯人を探し出すというストーリーです。
この映画でのBBのファッションでチェックしたいのは、ベーシック色とキレイ色の組み合わせです。
黒のキャミソールワンピースに水色のコート、ラベンダー色のスーツを着こなしています。
カーキのトップス、グレーのスカートにコーラルのスカーフを頭に巻き、パンプスも同色というコーディネートもはっと目を引きます。
また、ネイビーのワンピースの胸元にゴールドのブローチが効いていたり、黒のワンピースの型に花が付いていたりとさり気ない小物使いにも注目です。
そして、マンボを踊るシーンがあるのですが、そこでの黒のボートネックの半袖トップス、グリーンのギンガムのふんわりとしたスカートが、この映画のファッションの見どころです。
ギンガムチェックを取り入れたコーディネートはBBの王道スタイルで、結婚会見でもギンガムチェックのワンピースを着ていたそうです。
ブロンドの髪を上げたり、下ろしたり、片方に下ろしたりとそれぞれ大人っぽかったり、可愛らしかったりと、その変化も参考になると思います。
先が気になる展開を楽しみながら、ファッションにも注目してみてください。
◆軽蔑(1963年)
「軽蔑」は、ジャン=リュック・ゴダール監督による、フランス・イタリア合作のメロドラマ要素の強い映画です。
イタリア人作家、アルベルト・モラヴィアの同名小説をもとにしており、
ゴダールの当時の妻であった、アンナ・カリーナとの愛の苦悩を描き、自己を投影させた作品となっています。
南イタリアのカプリ島が主なロケ地です。
劇作家のポール(ミシェル・ピッコリ)は、アメリカの映画プロデューサーのプロコシュ(ジャック・パランス)に、難解すぎる映画の脚本の修正を依頼されます。
打ち合わせのあと、妻カミーユ(BB)とプロコシュの自宅に招待されたポールは、プロコシュの車にカミーユを先に同乗させてしまいます。
それから、カミーユはポールを軽蔑し、冷たい態度で接するようになります。
そこからすべてが破滅へと向かっていきます。
この映画でのBBは、ブロンドヘアと黒髪のウィッグで雰囲気をがらりと変えます。
濃紺のスカーフをヘアターバン風にし、細いボーダーのタンクトップの上に同じく濃紺のカーディガンとスカートを着こなしています。
ピンクのストライプのシャツにグレーのスカート、草色のワンピースに黒いカーディガンと黒髪のウィッグという姿もあります。
ゴダール映画ではおなじみの、対比を意味する赤・青・黄を使ったインテリアや衣装、メイクも見どころの一つです。
◆セシルの歓び(1967年)
「セシルの歓び」は、「シベールの日曜日」で有名な、セルジュ・ブールギニョン監督による、フランスの恋愛映画です。
パリ・ロンドン・スコットランドで撮影された作品で、当時のヨーロッパの空気をそのまま感じられる作品です。
パリでファッションモデルをしているセシル(BB)には、夫がいました。
しかし、ロンドンでの仕事で出会った、ヴァンサン(ローラン・テルジェフ)と恋に落ちます。
ふたりはスコットランドの古城で愛を育みます。
ロンドンに戻ったヴァンサンは、駆け落ちをしようとセシルに持ち掛け、香港行きの飛行機のチケットを予約します。
この映画が上映された1967年頃といえば、スウィンギング・ロンドンというカルチャーが世界中を席捲していました。
サイケデリック・アート、サイケリック・ミュージック、ミニスカートなどが大ブームでした。
この映画でのBBも、モデルの仕事では、ぴったりめのミニのワンピースや、前衛的な戦士のようなファッションを身にまとっています。
かと思えば、逃避行中のファッションはシンプルなパンツスタイルで、その対比が印象的です。
衣装はピエール・カルダンが担当しています。
30歳を過ぎた落ち着いたBBの美しさを堪能できる1本です。
いかがでしたか?
約20年間駆け抜けた女優人生の中で、映画界、ファッション界に革命を起こし、いまだに世界中で多くのファンを持つのが、ブリジッド・バルドーです。
BBの魅力が詰まった作品の数々を楽しみ、コーディネイトの参考にしてみてくださいね。