ファッション縮小の中でも勢いのあるファッションレンタルECとは
ものを持たない「シンプル生活」「ミニマリスト」という言葉が浸透し、車や自転車、家、オフィスにまでシェアリングサービスが広まっています。そしてファッション業界においても、新たなライフスタイルを提案するサービスとして「ファッションレンタル」が登場しました。
アパレル市場が伸び悩む中で、女性の社会進出や物流システムの発達などを背景に、オンラインにて洋服を月額制でレンタルすることが出来るファッションレンタルEC市場 が拡大しています。
米国から流行がはじまり、日本でも次々とサービスが開始された新しい業態のため、聞き慣れない方も多いでしょう。
ファッションレンタルECは月額制を取ることが多いため、サブスクリプションコマース(定期購入)の側面を持っていますが、それに加えてCDやDVDなどのコンテンツに近い商品には以前からあったレンタルという概念を、洋服に持ち込んだ非常に新しいサービスといえるでしょう。
レンタルという概念は、商材が消耗しにくいコンテンツ系のCD、DVDや本などには適していますが、消耗や他人が使ったことが気になるファッションはハードルが高い部分もあります。しかし各サービスとも、返済期限なしとし、レンタルしている商品の買い取りも可能とするなど、他のレンタルサービスにはない特性を持たせてそのハードルを越えようとしています。
アパレル製品・洋品の総小売市場規模は少子高齢化や人口減少の影響により縮小傾向と予想されつつも、各社 EC 事業に対する取り組みや消費者の利便性などから毎年成長を遂げているのです。
2014年の終わり頃からファッションレンタルECが登場して、ファッションの新しい楽しみ方として注目を集めています。定額の月額料金を支払うことで洋服やバッグなどのアイテムが借り放題になるシステムは、流行の移り変わりが激しく個々人によってニーズの異なるファッションにおいて、親和性の高いサービスであると捉えられています。
アパレル系のECサイトと提携することで、そのECサイトのテストマーケティングや試着と言った位置付けとしていくなど、新たなビジネスモデルの構築を目指しています。さらに、air Closetを運営するノイエジークは寺田倉庫と業務提携を行うことで、商品の保管・配送・クリーニングなどを全て寺田倉庫に委任するなど通常のECサイトにはない幅広い提携を行っています。
このように、レンタル商品の絞込み・サービス特性、だけでなく関連事業者との積極的提携による新たなビジネスモデルの構築により、新規ユーザーの獲得や運営コストの圧縮を行い差別化を図ることが大前提となってきています。
ファッションレンタルECがより大きな市場を作っていくためには、大手ソーシャルサービスや、キュレーションサービス、さらには百貨店などの既存の大手プレイヤーと連携しユーザーを取り込むなどの大掛かりな施策が必要となってくるのでしょう。
ファッションも共有する時代へ
これまで、ファッションアイテムのレンタルサービスは、喪服や着物、ドレス等のフォーマルウェアに限られているのが実情でしたが、最近では新しい洋服の楽しみ方として、普段使いのカジュアルウェアやアクセサリーをレンタルする事業者が増えてきました。
airClosetでは既に会員数が7万5,000人を超えた他、ストライプインターナショナルでも、自社6ブランドの最新ウエアをレンタルできるサービス「メチャカリ」を2015年よりスタートさせています。
ファッションレンタルサービスは、 そのほとんどが送料・クリーニング代を無料としており、気に入ったアイテムはそのまま買い取りが可能なサービスがあります。
ファッションアイテムは実生活で着用してみて着心地の良さや似合っているかどうかを判断するものでしょう。また、好きな服だけど着てみてサイズが合わず、着る機会がなくなるといったことも起こり得ます。
消費者は買ってみて、着る機会がなかったことで生じる買ったことへの後悔が想像できて、購入を控えてしまうことも時々あるでしょう。
ファッションレンタルサービスを利用すればこうした悩みが解消できます。定額制なのでそれ以上の出費を気にすることなくオシャレを楽しめるのです。今注目されているファッションレンタルサービスをご紹介します。
◉airCloset(エアークローゼット)
料金:月額6800円
送料:無料、クリーニング不要
こちらのサービスは好みに応じてスタイリストがセレクトしたファッションアイテムを月々の定額料金でレンタルできます。1回のレンタルで借りられるのは3つまでで、レンタル期間は無制限です。気に入ったものはいつまでも借りることができ、レンタルした洋服が良ければそのまま買うことも可能。こうした柔軟な対応が話題を呼び、オープン前に数万人が事前登録をしたことでも知られています。
スカートやブラウスのきれいめ系アイテムなどのスタイルを楽しみたい20代から50代の女性におすすめ。
◉メチャカリ
料金:月額5800円
送料:返却手数料1回380円(税別)
「earth music&ecology」などの人気ブランドの服を同時に3着までレンタルできます。このサービスのポイントはレンタルする服はすべて新品を借りられることです。レンタルしたものはときに使い古された感じがするものですが、その心配がないのがメリットです。メチャカリではレンタル後に返却されたアイテムは中古品として販売する仕組みになっています。60日間借り続けたアイテムはもらい受けることができるというサービスもあり、人気を呼んでいます。
◉EDIST. CLOSET
月額:8,300円(レギュラープラン/3ヶ月)
返料;無料、クリーニング不要
毎月1度、好きな1セットを届けてくれるレディース向けレンタルサービス「EDIST.CLOSET」。
シンプルで無地のコーディネートが多いので、仕事でもプライベートでも活用できること間違いないでしょう。新規入会するとプレゼントがもらえるキャンペーンなどを行っていたりもするので、ぜひチェックしてみてください!
◉SUSTINA
月額;5,800円で女性向けファッション製品が借り放題となる
送料;無料、クリーニング不要
オムニスが立ち上げたのがSUSTINAの最大の特徴は、買取りとレンタルが一体となっているところです。ユーザーがクローゼットに眠る衣服をレンタル品として提供し、借りる側はそれらのアイテムを1回につき最大5点までレンタルすることができます。前述のair Closet同様レンタル期間は定められておらず、月に何度でも好きなタイミングでの利用が可能です。
取り扱いブランドは、aquagirl、CECIL McBEE、SNIDEL、MOUSSY、MERCURYDUO、SEE BY CHLOE、JILLSTUART、SLY、ROSE BUD、ABAHOUSE、Adam et Rope’、SHIPS、Stella McCartney、Paul Smith、BANANA REPUBLIC、A.P.C.、agnes b.、FRED PERRY、REPLAY、Abercrombie & Fitch、American Eagle、American Apparel、BURBERRY、Spick and Span、HYSTERIC GLAMOUR、STUNNING LURE、BARNEYS NEW YORK、ESTNATION、Deuxieme Classe、MAISON DE REEFUR、JOURNALSTANDARD、TOMORROWLAND、BEAMSなどで、20代〜30代の女性向けのアイテムが並びます。
サービス開始前にユーザーに対象ブランドのレンタル品提供を呼びかけ、ターゲット層に合ったアイテムを豊富に揃えた。ただしサービス開始から3カ月以上経った今も大変混み合っており、現在はレンタル品を提供したユーザーを優先的に利用させる方法を取っています。SUSTINAではスマートフォンでのサービス利用を前提とし、レンタルなどの手続きはすべてアプリから行います。
◉Laxus(ラクサス)
月額;6,800円
送料;往復送料無料、返却期限なし、あんしんのキズ保障つき
シャネルやルイ・ヴィトンなどの高級ブランドバッグが使い放題になるLaxus(ラクサス)。以前からファッションシェアリングを提供していたエス株式会社がリリースした同サービスは、なんと1,000種類以上の女性向けバッグの中からお気に入りの1点を無期限でレンタルできるというものです。
取り扱いブランド数は54ブランド25,000個のブランドバッグが使い放題。そのうちセリーヌ、エルメス、グッチ、バレンシアガ、クロエが50種類以上、シャネル、ルイ・ヴィトン、プラダにおいては100種類以上の在庫を抱えています。新作も随時入荷しており、最新コレクションからのセレクトも可能という点はかなり魅力的です。 Laxusではあらゆる層に刺さる20万円〜40万円の価格帯のアイテムを用意しているため、年齢、職業、趣味趣向問わず多くのユーザーから支持されています。
ファッションレンタルサービスはそれぞれ独自のサービスを押し出し、利用者の目を引くことで利用機会を広げている状況です。
通販感覚で気になる服をレンタルするサービスや、スタイリストが服を選んでくれるサービスなど種類も様々ですね。買って後悔することが多いなら、レンタルで気軽に試し賢い女子になりましょう。
ファッションレンタルサービスはお得で便利、おしゃれの幅が広がるなどメリットについて触れられることが多いですが、注意点もあるのでしっかり確認したうえで利用するようにしてください。まだサービス開始から日が浅いですが、それぞれ個性豊かなので自分の好みに合いそうなサービスをみつけてくださいね。
今後のファッション業界
ファッションレンタルはファッション全般という切り口だけでなく、バッグ、ドレス服などの商品の利用シーンや目的の絞り込みや、ECサイト連動やスタイリストとのコミュニケーションを取れることなど、様々な切り口での差別化要素が見られます。
その中でもファッション業界の今後の切り札となるのは、アパレルブランド自身がサービスを提供するものと、実店舗型のものではないでしょうか。
ファッションレンタルECサービスは一度使ってみると比較的継続率が高いことを考えても、いかに使ったことがないユーザーに接点を設けることができるかが鍵になるでしょう。
例えばアウトレットモールの各ブランド店舗内にレンタルサービスのスペースを設けたり、通常のブランドのECサイト内で購入かレンタルかを選べるような形でサービスを提供出来ると利便性も高く、接点も広がり、利用者も増える可能性も高くなるのではないでしょうか。
いずれにしても、消費型の社会から、時代は循環型の社会にシフトしようとしています。そのためこのようなシェアリングコミュニティの発達は各ジャンルにおいて見られる現象です。ファッション業界においもファッションレンタルECサービスの勃興は必然と言えるでしょう。今後のサービスの定着化に期待し、ファッションを盛り上げて欲しいですね。