パルコの変遷
パルコは、もともとは今のような百貨店業ではなく、池袋のステーションビルを運営する会社として設立されました。丸物百貨店との資本提携を機に百貨店業へと業態を転換しました。
1957年(昭和32年)「東京丸物」の店名でオープン。
1969年(昭和44年)業績低迷を理由に丸物百貨店が撤退し、西武百貨店の資本参加を仰ぐことになり、同年、池袋の東京丸物の跡地にファッションビル、池袋パルコ1号店が開店しました。
池袋パルコの成功により、社名も「パルコ」に変更しました。その後、渋谷(ただいま休業中)、札幌、静岡、仙台、名古屋、広島、福岡と全国にオープンさせ8店舗が都心店として展開中です。その他都心店舗以外に関東店舗の浦和や吉祥寺、地方店舗の松本、熊本と分類され展開を続けています。
以前は西武百貨店を中核としたセゾングループの一角を成していましたが、2012年に大丸松坂屋を展開する J.フロントリテイリング の傘下に収まり、渋谷パルコの閉店後は時代の移り変わりと共に変革を求められています。
そこでパルコはパルコらしさとは何かを再定義し、若者文化を担うパルコから、パルコで育った上の年代へもターゲットを拡大することも重要と考え、「パルコヤ」という新業態をオープンさせました。
新屋号パルコヤは新しいお客さんに、新しいコンセプトを伝えるためにya(ヤ)に込めた想いがあります。「yet another=もうひとつの」今までのPARCOに対しもう1つの新しいPARCOという意味と、日本の老舗をイメージさせる〇〇屋という意味も持たせています。従来のパルコとはまったく異なるターゲットでチャレンジしている店なのです。
パルコヤのコンセプトは「おとなのパルコ」です。上野で成功させて、今後のパルコ出店の新しい形を作ろうとしています。メインターゲットは団塊ジュニア世代を中心とした、大人の男女30~50代です。サブターゲットは銀座や丸の内、日本橋に流出している近隣居住者とオフィスワーカー、観光客としています。
パルコヤの特徴は大人向けファッションブランドから地元老舗の新業態まで、これまでのパルコにはなかったテナントを多数誘致しているところです。
パルコらしい斬新さと下町の伝統文化が融合したパルコヤは渋谷や池袋で培ったトレンド発信力が上野御徒町をどう変えていくのか、訪れてみる価値はありますね。
パルコの3つの社会的役割
パルコは1969年の池袋パルコ誕生以来、音楽やアート、演劇など先端のカルチャーを積極的に紹介し、さまざまな新しい才能の発見や応援をしてきました。パルコの持つ国内外のネットワークや、事業ノウハウを活用することで、事業成長の機会を提供しています。
◉インキュペーション
マーケットに新しい提案をし続けるためには、新しい才能の活躍が必要と考え、新進のファッションデザイナーやクリエイター、テナントの成長こそがパルコの成長と位置づけ、新しい才能を発掘し、その成長を支援することにより、新しい価値を創出する活動に力を入れています。
取り組みを通じて若手デザイナーたちが国内外に向けて、自身のクリエイションを発表することは、次なる成長機会を得ることができるとともに、次代を担う新しい才能がファッション業界の新たな力になると考えています。
またこの活動を通じて、アジアの若手デザイナーのグローバルな活動とアジアのファッション産業の発展を目指しています。
◉街づくり
多様な開発を推進し、街の個性を創造する街づくりを推進しています。パルコは既存事業に加え、新たな事業モデルであるゼロゲート(パルコが展開する都心向けの小型商業施設)事業の拡大などエリアの面開発を積極的におこなうことで、快適で、新しい街づくりに取り組んでいます。
出店いただいているテナントとイコールパートナー主義のもと、マーケットの可能性やお客さまの期待に応えるために、ともに新たな挑戦をおこない、街の個性を創造しています。
2019年秋の開業予定である新生渋谷パルコは都市マーケットの成熟や技術革新などの社会変化に対応し、街の活性化に貢献する次世代グローバルショッピングセンターとして注目されています。
◉情報発信
消費環境の急速な変化に対応すべく店舗でのデジタル環境を整備することで、新しい消費体験を提供し、商業施設の楽しさを創造しています。
パルコ館内の情報をいち早く魅力的に発信するために、テナントがショップブログを通じて情報発信をし、お客さまの来店を促進しています。
また、ショップブログに掲載した店頭商品をWeb上で取り置きと購入ができるサービス「カエルパルコ」の運営や、公式スマートフォンアプリ「POCKET PARCO(ポケットパルコ)」によるお客さま一人ひとりに合わせた情報発信により、Webを通じてお客さまに24時間PARCOを楽しんでいただける環境づくりに取り組んでいます
情報発信が多様化してSNSなどの普及と拡散により遠方で店舗に足を運べない方にでも、カエルパルコのサービスを利用することにより簡単に購入できる便利なサービスはお店側も消費者側も大変嬉しい時代になりましたね。
パルコの今後が楽しみ
新施設に生まれ変わる2019年秋の渋谷パルコは、常に時代の先端を切り拓き、若い才能に活躍の機会を与え、そして利用客と共に歩んできました。生まれ変わる渋谷パルコは次にどんな姿を示してくれるのでしょうか。
新生渋谷PARCOから生まれてくる新たなエッセンスは全国のPARCOやグループ事業に波及させることなどで次世代型商業空間に面白みが出てきそうです。
パルコの原点である「インキュベーション」「街づくり」「情報発信」の3つの社会的役割を通じて、都市生活を楽しみたい消費者や都市で活躍する事業主の多様化するニーズに対し、「心の豊かさ」「新しい刺激」「充足感」などの価値提供がおこなわれることでしょう。
2019年の秋が本当に待ち遠しいです。オープンした際には新生パルコの姿を自分の目で確かめましょう。