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4500店のアパレルテナントが退店!真価が問われる実店舗の今後

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アパレルテナントの減少が社会問題に!

「服はどこで買っても同じ。それならネットで買った方が便利。」
そんな声をよく耳にするようになりました。
確かに、インターネットで洋服を買えば家まで届けてくれるので交通費がかからないし、電車での移動中や友達の待ち時間などの空いた時間に気軽にお買い物ができるので、時間の有効活用にもつながります。

商業施設の相次ぐ閉店やECサイトの躍進などにより、今、社会的問題となっているのが「ショッピングセンターのテナントの減少」です。

特にアパレル系店舗の減少が著しく、流通小売業向けソフトウェア開発のリゾームが9月1日に刊行した「SC GATEレポート2016」(全国商業施設と業態別テナント出退店動向の調査レポート)によると、なんと、アパレルテナント4,500店が退店したといいます。

2016年度に3,300店以上出店しているものの、退店が4,500店以上にも上るため、その差し引き増減テナント数はマイナス1,200店以上となります。

国内で2016年の間にこれだけ多くのアパレルテナントがショッピングセンターや百貨店からなくなっているのです。

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ライフスタイルの変化により、「出店すれば売れた」時代は終了しアパレルメーカーは試行錯誤

出店すれば売れた時代の終焉、その原因の一つがECサイトの躍進と言われています。
ネット通販に押された大手百貨店が相次いで大量閉店を決断し、2015年度からの約2年の間に、オンワードホールディングス、ワールド、TSIホールディングス三陽商会の大手4社だけで閉店店舗は計1,600店以上にも上る見通しだと言います。
百貨店業界の売上高は最盛期の9兆円台から5兆円台まで縮小し、
なかでも衣料品の売上高は5年で2,000億円近くも減少しました。
これまでの「出店すれば売れた」時代はもう終わりを告げているのかもしれません。


そんななか、
店舗数を着実に増やしているのが「インテリア・寝具・家電業界」。
総テナント数は少ないですが、2016年度は出店テナントが退店テナントを上回り、増減テナント数比率は+2.4%となっています。
ファッション業種の-4.0%と比較するとその伸び率は明らかです。

アパレル店舗が退店したあとは、ヘアサロンやエステ・リラクゼーションなどの美容系や、携帯電話ショップやクリーニングなどの生活密着型店舗、カルチャー教室や飲食などの娯楽・サービス業が穴埋めをしている場合が多いと言います。

少子高齢化はもちろん、単身世帯の増加や女性の就業率アップによって、必要とされるお店の種類が年々変化していることが分かります。

また、テレビや雑誌などのメディアによる節約・エコ生活の情報拡散などにより、ライフスタイルに変化が生まれている一面もあります。

衰退の流れは、ショッピングセンターにも影響を及ぼしています。
婦人用のファッションや服飾雑貨がメインだった「マルイシティ渋谷」は、2015年11月に全館改装し、「学び」や「体験」などをキーワードに、カルチャー・音楽・飲食・旅行・娯楽などにフォーカスしたライフスタイル提案型の商業施設にリニューアルしました。

これまでのアパレルに特化したマルイの形態が大きく変わり、話題となっています。

また、2019年に新たに開業する「渋谷パルコ」も、アパレル商品の売上高の下降に伴い、アパレル店舗の数が減っていくのではないかとと予想されています。

実店舗とECサイトを上手に連動させた新店舗が登場!

そんななか、店舗に足を運ぶ顧客を増やすため新たな取り組みを始める企業も増えてきています。
9月15日横浜市内にオープンした新店舗「ジーユー横浜港北ノースポート・モール店」では、デジタル技術を取り入れたショッピングカートや鏡を店内に設置しています。

モニター付きのショッピングカート「オシャレナビ・カート」は、センサーに商品をかざすと商品情報や商品在庫(店頭在庫・EC在庫)が表示されるだけでなく、商品レビューやモデルの着用画像、一般消費者のコーディネート画像も表示されます。

さらに、売り場に設置されたBeacon(ビーコン)と呼ばれる発信機にカートが近づくと、オススメ商品やスタイリストによるコーディネートまで表示され、実店舗でのショッピングをデジタル面でサポートしてくれます。

さらに店内で注目を集めているのが、
通常の鏡としての使用だけでなく、デジタル画像が表示される特殊な「オシャレナビ・ミラー」です。
センサーに商品をかざすと、モデルの着用画像、一般消費者のコーディネートと一緒に商品レビューも表示される仕組みとなっています。

実際に商品を手にするだけでなく、プラスアルファの情報を得ることでイメージが膨らみ、購買意欲をアップさせることにつながるのだそうです。

この「ジーユー横浜港北ノースポート・モール店」は、売り場面積約820坪と広く、取扱商品も標準店舗の2倍で、ジーユー内では最大の売り場面積と品揃えとなっています。
デジタル技術を上手く取り入れることで、「買い物が楽しくなった」「商品が見つけやすくなった」と、高評価を得ているようです。

各社・各ブランドの真の強さが問われる時代に突入した2017年。
実店舗をただ単に減らすのではなく、既存店とECサイトを上手に連動させていくことが、アパレル業界全体の繁栄につながっていくことになるでしょう。