他ブランド・他店舗との差別化を図る
基本編もいよいよ最終回です。
今回はお店・ブランドのファンを創ることがテーマです。
そこで、もう一度上記の売上の図を見ましょう。
前回・前々回でセット率・買上率向上の工夫についてお話ししました。
ただ、いずれもお店にお客様が来てくださることを前提とした手法です。
いかに接客や店舗マーチャンダイジングが優れていても、お店に来てくださらなければ、売上にはつながりません。
「このブランドが好き」「このお店の雰囲気が好き」「XXさんの接客が好き」
そういったファン化を通じて、お客様が繰り返し足をはこんでくれることの価値は計り知れません。
また、お客様のブランドに対する期待値や信頼感が高いほど、そこで働く販売員のやりがいもアップし、自信や誇りをもって働くことができます。
では、お店・ブランドのファンを増やすためにはどうするべきか。
代表例をご紹介します。
他ブランド・他店舗との差別化を図る
自分の好きな洋服やアイテムのテイストを思い出してみてください。
そのテイストにあいそうな商品をたくさん扱っているブランドやお店がいくつ思いつきましたか?
多くのモノであふれている現代では、必ずといってよいほど、似たようなライフスタイルや好みを持った人を対象としているブランドが複数あります。
複数のブランドが入った百貨店やファッションビルにあるお店であれば、場合によっては真向かいのショップが、自分のお店と似かよった顧客層をターゲットとして想定しているというケースもあるでしょう。
その中で「自分のいるお店・ブランドを選んでもらう」ためのポイントは、まず他と比較した時に「どんな特徴が自分のお店・ブランドにあるか」を整理しておくことです。
次に、「先週新しい商品ラインナップに切り替わって、価格はこれくらい」「今季のテーマをXXに設定していて、XX系のアイテムが増えた」など、競合ブランドの特徴をあわせて把握することも大切です。
そのうえで、そのお店の商品と自分のお店の商品を比べているお客様に、どのような提案ができるのか考えましょう。
自分のお店の商品であれば、受け身の姿勢でいてもある程度情報は入ってきますが、
それだけでは「XXと比べて自分のお店の商品を買ったほうが良い理由」までは抑えられません。
アンテナを広く張って、自分のお店以外の情報にも視野を広げておくことが、非常に役立つのです。
まずは、「注目するお店・ブランド」を1つ決めて、その情報収集することから始めてみましょう。
ブランド≒自分~自分のファンを増やす〜
接客・販売の仕事は、商品そのものだけを扱うのではない。
「信頼感」「あこがれ」「愛着」といったイメージ、形のない『ブランド』というものを扱う仕事です。
接客のテクニック的な部分も非常に重要ではありますが、自分自身が扱っているブランドのファンになり、服の着こなしだけでなく、メイクやライフスタイルを通じて、「自分のお店のブランドが表現したいと思っていること」を体現していくことが大切です。
結果として、「XXさんのファンだから、XXさんが提案してくれるXXブランドの商品も好き」という状態にまで持っていければ、最高の状態であり販売員としての醍醐味を味わえることでしょう。
そのためには、自分が選んだ販売職という仕事を最大限楽しむことが大切です。
販売の仕事は、多様で忙しく大変なこともたくさんあります。
ただ、接客販売は非常に奥が深く、やりがいのある仕事であり、その「接客技術」は一生使えるビジネススキルです。
この講座で紹介してきたポイントを活用しながら、ぜひ主体的に取り組んでこの「販売」という仕事を楽しんでほしいと思っています。
みなさんの販売職としてのキャリアが、充実感や自分の成長につながるものになることを切に願いつつ、本講座の締めくくりとします。
最後までお読み頂きありがとうございました。
講師の紹介
株式会社エムオーティクリエイション
代表取締役社長 川内由加
・サービス・マネジメント・コンサルタント
・キャリアカウンセラー
<米国CCE. Inc. 認定GCDF>
・国家資格キャリアコンサルタント
・サービス介助士・認知症介助士
<公益財団法人日本ケアフィット教育機構>
・英国国立ウェールズ大学院 経営学修士(MBA)
<MBA, The University of Wales, UK.>
・桜美林大学院 老年学修士
<桜美林大学老年学研究科シニアライフ研究会所属>
・経営倫理士
<特定非営利活動法人日本経営倫理士協会 主任フェロー研究員>
・特定非営利活動法人戦略的CSR研究会 理事
1982年 関西学院大学卒業後、株式会社ワールドへ入社。株式会社ワールドで、人事部・タケオキクチ事業部・株式会社ワールドストアパートナーズ(ワールドグループ販売会社)の代表取締役を経て、2001年にエムオーティクリエイションを設立。