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【第6回】接客は「話し上手より聞き上手」!お客様の本音を引き出すヒアリングとは? / ファッション販売基礎講座【全10回】

 

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アパレル店員なら知っておきたいお客様の本音を引き出す3つの質問

前回はお客様との「会話のスイッチ」として、いくつかのアプローチ法をご紹介しました。
会話をスタートすることができたら、今度はいかにお客様の情報を引き出せるかが大切になってきます。

そこで今回は接客時のヒアリングのコツについてお話しします。

ヒアリングのスキルはどう活かされる?
ヒアリングの目的は場面によってさまざまですが、主に以下のようなものが挙げられます。

・お客様が現在抱く欲求をより明確にするため
・お客様のなかの小さな欲求を引き出すため
・お客様にとって価値のあるご提案をするため

こうしたポイントを理解していないままでは、どんなに頑張っても的外れな提案をしてしまいます。逆にいうと、これらをしっかり把握することができれば、お客様にとって有益なご提案をすることができます。
「お客様の役に立ちたい!」と意気込みすぎると、ついつい強引に自社の販売商品を推薦してしまうようになるので注意が必要です。やる気ももちろん大切ですが、まずはぐっとこらえてお客様を知ることに集中しましょう!


お客様の本音を引き出す3つの質問
ヒアリングの重要性を理解したところで、今度は効果的な質問を具体的にご紹介していきます。

■相手の答えやすさを配慮!「A.事実を知る質問」
お客様の実態や状況をより詳しく知るための質問です。「YES」「NO」を基本に、簡単に答えられる質問をしていきます。その答えを通じて、お客様の実態を把握しましょう。

例)
「スーツは初めてですか?」
「シルバーはお好きですか?」
「ご予算はおいくらですか?」

<ポイント>
会話が続くことが理想なので、できるだけお客様の回答が「YES」になるような質問を選びましょう。キレイなジャケットスタイルの着こなしが特徴的なお客様であれば、普段からジャケットをよく着られますか?」にはきっとYESと答えることでしょう。

仮に答えが「NO」だった場合のために、質問の本来の目的が果たせるような切り返しも用意しておくと安心です。
普段のファッションスタイルが知りたかったのであれば、「すごく上手に着こなしていらっしゃるので、よくお召しになられているのかと思いました。では、普段はもっとラフなスタイルが中心ですか?」など、自然に質問が続けられると良いです。

■もっと深く理解するために!「B.考え方を知る質問」
お客様の考え方や感じ方、好みなどを発見するための質問です。そのため、お客様の考えを自由にお話し頂けるような形式の質問を投げかけるテクニックが必要になります。

例)
「どのような場面でお使いになられますか?」
「どんな雰囲気にしたい、などのイメージは御座いますか?」
「普段、どのような点でご不便を感じていらっしゃいますか?」


<ポイント>

先ほどの「A.事実を知る質問」に比べると、得られる回答もより深いものになります。しかし唐突に難しい質問をするとお客様が戸惑い、会話が止まってしまう可能性もあります。

そのため、お客様が自由に答えやすい雰囲気作りも大切になってきます。
まずは「A.事実を知る質問」のような簡単な質問から始め、お互い慣れてきたころにこの「B.考え方を知る質問」を挟めばより効果的です。
「今日はバッグをお探しですか?」「今お持ちのバッグも素敵ですけど、どのような点でご不便を感じられるんですか?」
このような流れなら、お客様もきっと答えやすいことでしょう。


■話題の絞り込みも大事!「C.確認のための質問」
より多くの情報を得るためにはたくさんの話題を投げかけることも大切ですが、ある程度は絞り込まないとせっかくの情報もバラけてしまい、必要な情報がわからなくなってしまいます。お客様の要望や意思を整理するためには、観察やヒアリングで分かったことを自分なりの表現で確認しておきましょう。

例)
「では、今日は赤のニットをお探しということでしょうか?」
「ご友人の結婚式の披露宴で着られるのですね?」
「今日のファッションに似合うアクセサリーですね?」


<ポイント>

この時は自分の考えの押し付けにならないように、お客様の要望を丁寧に確認していくよう心掛けましょう。
お客様の要望を確認しておくことで、その後のご提案に説得力が生まれます。また、その商品がなぜ適しているのかなどの説明もより具体的に出来るようになります。
途中で新たな要望が出てきた場合も焦ることはありません。また「A.事実を知る質問」「B.考え方を知る質問」に戻って、その新たな要望を明確にしていきましょう。
ひと通り話したら、改めて確認します。
「ご友人の結婚式に持って行けるエレガントなデザイン、でもある程度普段使いできるものがよい、ということでよろしいですか?」と、今までの流れをしっかりと伝えられる表現が理想的です。


今回お話しした3つの質問はあらゆる場面で応用できる、いわば基本です。
スキルとして定着させるには日々実践しかありません。その際に質問のパターンを自分なりに増やしておくととても便利です。

ヒアリングの基本をしっかり身に付けることで、お客様の要望が上手く引き出せるようになったら、次回はいよいよ「商品のご提案」に入ります。

講師の紹介

株式会社エムオーティクリエイション
代表取締役社長 川内由加


・サービス・マネジメント・コンサルタント
・キャリアカウンセラー
 <米国CCE. Inc. 認定GCDF>
・国家資格キャリアコンサルタント
サービス介助士認知症介助士
 <公益財団法人日本ケアフィット教育機構>
・英国国立ウェールズ大学院 経営学修士MBA
 <MBA, The University of Wales, UK.>
桜美林大学院 老年学修士
 <桜美林大学老年学研究科シニアライフ研究会所属>
・経営倫理士
 <特定非営利活動法人日本経営倫理士協会 主任フェロー研究員>
特定非営利活動法人戦略的CSR研究会 理事


1982年 関西学院大学卒業後、株式会社ワールドへ入社。株式会社ワールドで、人事部・タケオキクチ事業部・株式会社ワールドストアパートナーズ(ワールドグループ販売会社)の代表取締役を経て、2001年にエムオーティクリエイションを設立。