販売スタッフの基本行動 - 挨拶 -
今回は接客販売プロセスのうち、「挨拶」と「観察」について詳しく見ていきましょう。
挨拶
「来店したお客様に、いらっしゃいませとお声掛けしましょう」と言われて、違和感を感じる方はいないと思いますが、その目的を深く考えたことがある方は少ないのではないでしょうか。
お客様へのご挨拶は、販売スタッフとして当然やるべきことですが、その目的を意識することで、基本行動としての定着度合いが変わってきますし、より効果的な挨拶ができるようになります。
「いらっしゃいませ」の主な目的
お客様に対して…
・ようこそいらっしゃいましたという「歓迎の気持ち」を伝える
・ご来店いただいてありがとうございますという「感謝の気持ち」を伝える
・お会いできてうれしいという「喜びの気持ち」を伝える
・ご要望をお伺いするためにここにおりますという「自分の存在」を伝える
同じ店舗の従業員に対して…
・お客様がいらっしゃった事実に対する「気づき」を促す
『なんとなく敷居が高そうだなと感じるお店に入った時に、販売スタッフからフレンドリーな態度で「いらっしゃいませ」と声をかけてもらい、すっと緊張がほぐれた』といった経験はありませんか?
また、『目的の商品はどこにあるのかな?と不安に思っているときに、「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」と声をかけてもらって、とても安心した』という経験はありませんか?
このように「挨拶」には、お客様とのスムーズなコミュニケーションをはじめるための、大切なスイッチとしての効果があります。
以上のように重要な役割を果たす「挨拶」ですが、より効果的に使うための注意すべきポイントがありますので、確認しておきましょう。
注意すべきポイント
距離や位置に応じて、声の大きさを変えられていますか?
こちらの気持ちが伝わる声のトーンや抑揚で話していますか?
親しみと安心感を感じてもらえる視線と表情をできていますか?
背筋・足・手まで心配りした良い姿勢をしていますか?
状況に応じたお辞儀(深い・浅い・目礼)ができていますか?
いずれにせよ、こちらの気持ちは、態度・表情・行動に表れるものです。
挨拶の目的を忘れず、それが自然と行動として表現できるように意識していきましょう。
販売スタッフの基本行動 - 観察 -
続いて、「観察」のステップについて一緒に見ていきましょう。
「挨拶」はまだしも、そもそもなぜ「観察」が必要なのでしょうか?
皆さん、こんな経験はありませんか?
「今はゆっくり商品を見たいと思っていたのに、いきなり商品の説明をされて、なんとなく気持ちがさめてしまった…」
第1回で確認したように、販売スタッフの役割は、
「お客様の要望を満たす商品を考え、提案すること」
です。
何のコミュニケーションもとらず、お客様にお帰り頂いてしまっては、存在価値が発揮できていないことになります。
しかし、上にあげた例のように、お客様にとって心地よく、タイミングのよいアプローチができなければ、逆効果になってしまいかねません。
それを防ぐためには、お客様の行動を良く観察し、「お客様が必要とするときに、必要なお手伝いをするためにお声掛けする」事が必要になります。
以下、「見るべきポイント」と「注意事項」をまとめてありますので、参考にして下さい。
見るべきポイント
表情
心地よい・楽しい・イライラ・残念・不安… 表情には感情があらわれます。心の中を想像してみましょう。
ヘアスタイル/メイク/お顔立ち
何が好きで、今ある商品のうち何が似合いそうか、想像してみましょう。
服装/小物
持ち物・服装には好みが現れます。「どんなテイストが好き?」「そもそもコダワリ度合いは?」その人のクローゼットの中を想像してみましょう。
行動
「周りを見渡すそぶり」「立ち位置」「歩くスピードや導線」「手に取られるもの」 行動には目的があらわれやすいものです。何の目的を持っているのか、頭の中を想像してみましょう。
注意すべきポイント
「監視されている」にならない、親しみのある視線と表情ができていますか?
「必要な時に話しかけやすい」適度な距離をたもっていますか?
「話しかけやすいけど圧迫感がない」適切な位置に立っていますか?
背筋・足・手まで心配りした良い姿勢をしていますか?
お客様の要望を満たすためには、お客様のことを良く知ることが必要です。相手について事前に知っている情報が多いほど、色々なコミュニケーションの取り方ができます。
「お客様と直接話す前から、接客はスタートしている」という気持ちで、情報収集をしましょう。
講師の紹介
株式会社エムオーティクリエイション
代表取締役社長 川内由加
・サービス・マネジメント・コンサルタント
・キャリアカウンセラー
<米国CCE. Inc. 認定GCDF>
・国家資格キャリアコンサルタント
・サービス介助士・認知症介助士
<公益財団法人日本ケアフィット教育機構>
・英国国立ウェールズ大学院 経営学修士(MBA)
<MBA, The University of Wales, UK.>
・桜美林大学院 老年学修士
<桜美林大学老年学研究科シニアライフ研究会所属>
・経営倫理士
<特定非営利活動法人日本経営倫理士協会 主任フェロー研究員>
・特定非営利活動法人戦略的CSR研究会 理事
1982年 関西学院大学卒業後、株式会社ワールドへ入社。株式会社ワールドで、人事部・タケオキクチ事業部・株式会社ワールドストアパートナーズ(ワールドグループ販売会社)の代表取締役を経て、2001年にエムオーティクリエイションを設立。